「怖い話」克服①-冥界行バス-

 

 

冥界行バス

皆さんは冥界行バス、あるいは幽霊バスというものをご存じだろうか。
深夜のバス停に、本来来るはずのないバスが停泊し、バスに乗ろうとすると、そこに乗っているのは死人の様な乗客と運転手で、それに乗ってしまうが最後、あの世という名の終点まで、バスを降りることができないというものだ。
今、この幽霊バスがこの町で、話題になっている・・・・・

 

 

テレビのワイドショーもネタがなくなったのだろう。ネットに怖い話や動画が散乱している今更にそんな特集をしても、大した数字は取れないだろうに。
俺に任せてくれれば、もっとバーベキュー食べたい、素敵な記事が出来上がるのに、俺はヒーローだからな、結婚しよう・・・・・おっさんにも恋する権利はあるさ・・・・・・

もうろうとする意識の中で、山田はそう考えた。かれは週に2日しか働かない。働かなくても、天から授かった幸運で食べていくことが出来るのだ。
彼が働くのはあくまで性癖のため。自分を憐れみ、見下してくれるそんな天使を求めてのことなのだ。

ああ俺は何を考えているのだろう 昨日も夢を見た なぜこんなにも美しいものをこわしたいのだ。愛する者が壊れていくのを想像するだけで、わが身に旋律と愉悦が走る。

おれは、そのような人間なのだ。ほかの男もそうなのだろうか。しかし俺にはもう愛する者もいない。いたずらに美しいものを壊したい、そして自滅したいという思いだけが、俺を支配しているのだ。
だったらそれでいい、屑になれば快楽という幸福愉悦が待っているではないか・・・・・

殺し、奪い、平然と笑っいられる人間、それが正義と疑わず、いやそんなことはなから考えない人間。
俺も一回でいいから無垢な子供のころにかえって、不幸な人間を腹の底から笑ってやりたい それができたら・・・・・・

・・・・・・・・・ああ、それに俺が耐えられたら、もし俺が有能なら他を見下して何の躊躇もすることはないかもしれない、もし俺が冷酷なら、同じことだ。もし俺が鈍感な馬鹿者ならばやはり同じことだ。
人は気が付かないうちに多くのひと、自分より弱い存在を傷つけている。この世界でそれが当然のように生きていく、それが強さなのだろう。

しかし俺はそれに耐えられないのだ。どれにも当てはまらない、ただただ愚かで、弱い人間なのだ。優しいのではない、弱いから他人の痛みによって自分の痛みを思い起こしてしまうから、だから人の傷つく姿を見たくないだけなのだ。もしおれに力があれば、思う存分弱者を笑ってやれるのに。

俺には女神が必要なのだ。暗闇に光り、日陰者すべてに愛を注いでくれる、やさしい月が必要なのだ。俺を受け入れてくれるもの、俺の醜い欲望に釣り合う人、おれを支配してくれる人、俺の罪悪感を慰めてくれる人。わが心のソーネチカよきたれ。

そうこれでいい、あそこには女神がいる。女神に会いに行けばいいのだ。かりそめの女神に。

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