ある神の国のお話です。
一夜の暖を取ろうと、旅の男が崩れた教会の跡地へとやってきました。
その教会は幽霊がでると噂されていましたが、世捨て人同然の男にはかえって都合がよかったのです。
空腹の中ぼろをまとって、教会にはいると、中から不気味な声がします。
しかし男はもう寒さの限界だったので、迷わずに進むと、奥には老婆が一心にお祈りをしていました。
老婆に話を聞くと、彼女は病気の息子のために、祈っているということでした。身分の違いから町にある教会には通えないそうでした。
老婆は言いました、前世でひどい行いをしたから私たちは低い身分に生まれてしまった、しかしこの国の神様は信じる者全てを救ってくださると、それがけがれたものでも、どんな悪人でもと。
男はそれをきいてとても満足しました。よし今日から俺もその神様を信じることにしよう。男は神を信じたおかげで、罰せられずに、衣服も、食糧も手に入れる事が出来たのです。