「怖い話」コンビニ食品工場にて

 

 

俺は大学を卒業してから現在まで、コンビニの食品等をつくる工場に勤めている。

コンビニ例えばセブンのお弁当やデザートは、別にセブンが作っているわけではなく、大中小の別会社・工場で造ったものを納品しているのだ。

俺の会社は、地方の中小企業で、大きなところもそうかは知らないが、働いている人の半数以上が外国人だ。さらに言うとたまにテレビでみるような、ハイテクなオートメーション化が全体的に行われているわけでもない。

どういうことがいいたいかというと、もちろん、全体として見た場合流れ作業なのではあるが、人々が思っているよりはハイテクではなく、例えば弁当に入っているピラフはベトナムや中東あたりからきた青年、一生懸命なべの前に立ち、汗水たらして調理しているのだ。

俺達は頑張っている。日々弁当を届けるために。俺はそういう外国人の人々と一緒になって、仕事をしている。

ただし、地方の中小企業特有なのか、困った人も多い。しかも社員の中に。露骨に外国人や氷河期世代でしかたなく工場でアルバイトしている中年男性等を見下し、差別するような社員がいるのだ。

この場合、日本人側の民度が低いというよりかは、そういう質の悪い社員があつまる傾向のある会社だということだと思うけどね。

 

おっと他の人にはあまり通じない愚痴を言っているだけになっているが、一応これは心霊話だ。アルバイトのDさん(中東系のおじさん)の霊がたまに出るのだ。

彼は数年俺の会社で働いていて、とても気のいい人で、たまに俺も話しをしていた。ある日、日本の仕事はきつすぎる、と言われて苦笑するしかなかったのを覚えている。

イメージだと、アジア人の方が貧しいと思いがちだけど、工場内部をみると、結構骨格的にはコーカソイドに分類できる人達が、苦労している感じも受ける。

どのみち、誰が貧しいとか、人種がどうだとか、そんなものは何の意味もない偏見で、人間の価値はそんなことできまるわけではないのだが。

 

また話がずれてきているので、Dさんにもどす。

彼はある時から行方不明になり、正式な形では出社してこなくなったのだった。

俺は、多少は連絡を取ろうとしたものの、繋がらず、こういう工場ではよくあることなので、事情があるのだろうと放置していた。外国人には仕事がきつすぎるから、やめてもおかしくないと思っていた。

そして半年後、Dさんらしき人の遺体が、山で見つかった。もちろん俺が立ち会ったわけではなく、そういう連絡を受けただけだ。Dさんの死体は、死後数か月たっていたようだ。日本での生活をくにした自殺か、それとも遭難か他殺か、はっきりとしたことは今でもわかっていない。

ただおかしいのは、これはDさんの訃報があった以前からそうだったのだが、Dさんが工場内にいるのが何回か目撃されていたのだ。データ上にはそんな記録はなく、彼は完全に仕事に来ていないはずだったのに。第一Dさんは数か月前に亡くなっていたのに。

そして俺自身、Dさんを見かけたことがある。ただ横目にふと彼を見たような気がしただけで、そちらのほうを見ると誰もいなかったが。彼は死んでからも工場内で、仕事をしていたのだろうか。責任感が強いあの人らしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

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