「哲学メモ」死の欲動に関する訂正 

 

1.訂正の概要

こんにちはRAIMEIです。基本的に間違いばかりですが、以前の記事において、死の欲動は、母胎回帰欲動だと書いた点に関してのみ訂正します。いまだにニーチェへの僕自身の誤解等は、用語も含めて訂正する気になりません(というか以下も間違いかも)。

『死の欲動は、母胎回帰運動や死を望む欲動ではなく、死なない欲動です』

 

2.根拠(宇宙原理)

2-1.人間の欲動と宇宙原理

死の欲動というのはフロイトが言っていることなのですが、これと関連することは古代から考え続けられてきたことでもあります。

欲動は人間や(あるいは高等生物?)特有のものですので(欲動は身体と精神の境界であり、身体的な衝動を精神なものに置き換える)、以下はその大元として区別するために、宇宙的な働きとして、生の原理エロス、死の原理タナトスというものを想定します(というよりもフロイト自身が想定していますが、欲動という言葉との区別のためにここではそう記します)。

精神分析においては、欲動こそが本質的な人間の核で、欲望はその二次的な防衛策に過ぎないと考えます(欲動はより身体的、欲望は心理的働き)。欲動とこの記事で宇宙原理と呼ぶものの働きは、相同的であると想定して扱います。

2-2.根拠1古代ギリシャの哲学者エンペドクレス

彼は、宇宙(とその内部にあるもの)は、根源的に、火、水、風、地の4大要素からできており、それらを統合しようとする愛の働きと、それらを分解しようとする闘争の働きが常に闘争を繰り返していると考えました。

ある時は、愛が勝ちそれらは統一の方向に向かいますが、しかし水面下では闘争の力が次の時期の勝利のために、働いたおり、時期に逆転して闘争が前面にでて、愛が潜在的にはたらくようになると。

4代属性は、別に実際の火や水とイコールではなく、根源的な性質を想定し4つに分類したのであり、これを迷妄と扱うことはできません。

人間の歴史に当てはめれば、ある時代は比較的平和であり、しかしその背後では紛争や格差等が広がり、時期に戦争の時代になり、その時代では人々は潜在的には、次の平和にむけての準備をするというようなことです。

2-3.根拠2エントロピー増大の法則、引力と斥力

秩序だった状態が、時間と共にカオスに近づいていくとう、エントロピー増大の法則があります。生命体にもこれが当てはまり、寿命を迎えると死を迎えます。しかし同時にそれに抗う力が働いているので、生命体は一定の寿命の間生きることが出来ます。またものを引き込もうとする力=引力と、ものを離れさせようとする力(反発しあう力)=斥力があります。

 

3.生の原理エロスが死をめざし、死の原理タナトスが生を目指す理由

3-1.生の原理エロス

生の原理エロスという時、ここで言う生は、我々人間や動物などの、種や個体の生ではありません。この生は、宇宙そのものの生です(つまり宇宙全体を基準に考えた呼び方ということです)。

人間は死んだときに、個別の存在ではなくなり、宇宙と結合します(究極の享楽)。

生の原理は=結合=引力です。全ての物を一つに統一しようというのがエロスの作用ということです。それは個体としての死、種としての死、全的な死、カオスを意味します。

例えば、皆で協力しようという時は、個人の意思をひっこめなくてはならない場合が多いです。集団として生きて、個人としては死ぬということです。

3-2.死の原理タナトス

死の原理タナトスは、反発する力、斥力です。個体・生命全体に当てはめれば、この力が統一的な宇宙から、種を引きはがして生き延びる力となり、個体としては個性を維持するために必要な作用となります。タナトスは大きく分類するとカオスに対する秩序となり、根源的な破壊というイメージとは異なります。

3-3.二つの原理の混淆(こんこう)

実際にはエンペドクレスの言うようにこれは混ざり合って作用します。

例えば、食物を食べるという行為で考えます。食べ物を自分の体に接種する行為自体は、エロス的(結合)な行為です。しかしそのために他者を破壊するのは、タナトス的(闘争)な行為です。

しかし、もう少し詳しく考えると、栄養を摂取することは、エロス的結合であると同時に、タナトス的に自分の体を組織する(個体維持)ということの両面になります。また排出ということも、両面が含まれます。

3-4.エロス、タナトスの階層構造

宇宙と人間にはたらく、エロス・タナトスの働きを、階層化したものですが、色々と理解不足な所もあり間違っている覚悟であえて書いてみます。宇宙と人間(個人)の間には、種というものがあると思いますが、簡略化のために、ここでは省いています。また欲動と宇宙原理は相同的と書きましたが、④のみ欲望となります。

④エロス原理=再結合、①への衝動と②③の緩和、③が抑制
生の欲望=友愛の情、完全な融合は不可、欲望
③タナトス原理=確立、個体としての独立性、能動
死の欲動=サディズム・退行的マゾヒズム=支配欲、剰余享楽
②エロス・タナトス原理=依存・離脱、連綿と続く生命の糸、受動
死の欲動(本能?)=母への受動・固着→能動へ、享楽代理、剰余享楽
①エロス原理=宇宙(世界そのもの)としての永遠の生
生の欲動(本能?)=自己破壊、母胎回帰衝動、享楽=死

※剰余享楽は、享楽=死、の周りを迂回して自己保存・増殖をする。マルクス剰余価値と相同的。

4.まとめ

①エロス=引力・結合・カオス=宇宙の永遠の生(個体としての死)
 または個体同士の友愛・自己破壊
②タナトス=斥力・分離・秩序=生命体の糸(生命の不死)
 または個体としての生の独立・他者破壊
③死の欲動=タナトスは、死を望む欲動ではなく、死なない欲動

 

5.参考文献

1.仮厦(かいえ)「死への道は愛である」 http://kaie39.blogspot.com/2019/07/blog-post_26.html
僕が今まで見たきたブログの書き手の中で、一番知力が高いと思える方。精神分析や哲学において、なまなかの本を読むよりもこのブログを読んだ方がはるかに勉強になると思います。
蚊居肢(かいえ)というブログがメインですが、こちらは、アダルト画像が張り付けてあり、僕はそういうのは否定しているので、上を参照しています。

2.NGKサイエンスサイト 逃れられない宇宙の大法則 福岡伸一 https://site.ngk.co.jp/tv/no13/
エントロピー増大の法則について解説されています。

 

 

 

 

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